engawa50’s diary

つれづれ日記。Twitter : engawa50

No.2 日本の労働生産性の低さ

 

1.  はじめに

最近、働き方改革長時間労働など、日本の労働問題がおおきく扱われるようになってきた。

個人的には、電通の事件がひとつの契機となり、2017年は「人手不足」が日本の一大テーマだったこともあって、労働問題への耳目があつまるようになってきたと感じている。

日本の長時間労働の原因は、企業文化的な側面から追及されることが多い。

それも原因のひとつではあろうが、ぼくは、日本の労働生産性が低いことが根底にあると考えている。

単位時間あたりに作れる価値が小さいと、結果として残業代を稼ぐしかない。

以下では、日本の労働生産性の低さの原因について語る。

 

2. 労働生産性の低さ

日本の労働生産性は、現在OECD35カ国中20位(※1)。アメリカの7割ほどしかない

アメリカ人と日本人で、同じ時間だけ働くと、日本人が生み出す価値はアメリカ人のそれの7割しかない、ということ。

これを、「日本は失業率が低く、賃金でみて低レイヤーな方々も働けているから生産性が低くみえるだけ」という反論もあるのだが、ぼくは日本企業のビジネスモデルの問題であるとおもう。

そもそも日米の失業率の差は3%もないくらいで、ここまで大きな生産性の違いを失業率で説明するのは無理がある。

 

3. なぜ生産性が低いのか

長時間労働の根本には、生産性の低さがある。

ではなぜ、日本人は生産性が低いのか。

 

それは簡単にいえば、「生産性の高い産業に人材や資金が流れる仕組みが整っていないから」が答えだとおもう。

日本は製造業ではたらく人の割合が高く、大企業も軒並み古い企業ばかりである。

現在、中国などの途上国で製造業が発達し、白物家電だけでなくiPhoneも中国で製造されている。

冷蔵庫も洗濯機もパソコンも中国製のものを使うようになった現在、日本の製造業がかつての規模を維持するのは不可能だと思う。

大事なのは、時代の要請にあわせて、役目を終えた産業からは人や資金が去り、新たな産業へシフトしていくことだと思うのだが、そういった仕組みが日本にはない、というのがぼくの考えだ。

 

4. 雇用制度の問題

ではなぜ人や資金が移動しないか。

第一に、日本の雇用制度は、長期間同じ会社で働き続けることを前提としている。

新卒で雇った若者を、社内で教育し、数十年単位で人材を育成していく。

こういう制度は、時代が激しくうつりゆく世の中では通用しない。

20年前に冷蔵庫を組み立てるために雇った従業員に、こんにちにいたっても冷蔵庫を組み立てていてもらっていて、もうかるわけがない。その仕事はもう日本人がやる仕事ではないからだ。

第二に、日本は企業自体がセーフティネットであり、社会保障も「正社員の夫・専業主婦の妻」という夫婦構成を前提に構築・運用されている。

日本の制度自体が「すぐには辞めない正社員」を前提にしているので、時代の移り変わりについていけない日本の弱さは企業に閉じた問題ではない。

 

そもそも最近、企業に残業規制を求める声が強くなっているが、それ自体、企業がセーフティネットであることの証である。本来、嫌ならやめればいいだけの話だからだ。嫌でも辞めないという前提があるからこそ、残業規制を強く求めるのだ。

ブラック企業で苦しんでいる人のうち、転職活動をしているのにすべて断られているからやむなくブラック企業で働いている、という人がどれだけいるのか。彼らはみずからの選択として、ブラック企業に居続けている。

 

5. さいごに

まとまりがないが、日本的なシステムは世界に通用してないとおもうんだよなぁ、と

いうのがぼくが感じることだ。

アメリカでは創業して20年ほどのGoogleが国をひっぱる巨大企業になっているが、ああいうことは日本では起こりえないとおもう。

Googleフェイスブックが日本に誕生しないのは構造的な問題で、端的に言って人や資金が急激に集中することがないからだとおもう。

いま大企業で働いている40代ぐらいの人が、「おもしろそうじゃん」の一言でベンチャー企業に移動する、ぐらいの人の移動が可能にならないと、爆発的な成長は生まれない。

Googleフェイスブックの裏には、無数の失敗した企業の存在があるはずだ。鍵となるのは、そういった失敗ができる環境をどうやって構築するのか、チャレンジャーたちのジャマをせずにすむか、ということにあるとおもう。

そういう成長する基盤を整えるためには、規制緩和できることもあろうし、ベーシックインカムのような方法もあるだろう。

とくに、セーフティネットを企業が負担する社会から、国が負担する社会にかえるという意味で、ベーシックインカムは日本で実装する意味はとても大きいとおもう。このへんは別途かたりたい。

 

※1

http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2017_press.pdf