No.9 「財政健全化は必要ない」論について
現在、日本の国債発行額は1000兆円をこえているが、これを危機的な問題だととらえる必要はない、という人は多い。
この議論はよく以下のような論理で語られる。
1. 日本国債の大部分は日本国内で買われているから安心である。
2. 日銀と政府を「統合政府」ととらえれば、政府の資金需要に応じて日銀がお金を刷って国債を買えばいいだけである。
自分はこの論理がよくわからない。
「1」は具体的には、「日本政府の破たんにつながるような行動を債権者たる日本人がするわけないだろう」という文脈で語られるのをよく見る。
まず、「日本国債の信用は維持されるのか」という経済の問題を語っているのに、その国債の保有者の国籍がどこであるか、などという観点で語る意味がわからない。
たとえば個人で日本国債を保有している人が、なんらかの原因で国債価格の下落がはじまったときに、「ここで俺が国債を売ったら日本政府が破たんするので売るのをやめよう」とかするわけないとおもう。
「2」は、それが正しいとすれば、すべての税金はただちに廃止することができるとおもう。
政府が資金を必要としたとき、税金を資金源にするのではなくすべて日銀に金を刷らせてそれを使えばいいじゃないか、と思う。
むしろ「2」を主張する人はなぜ税金廃止を主張しないのか知りたい。「税金廃止まではムリだよ」というならその、「ここまでは日銀による財政出動で可能だけどここからはダメだよ」という線引きは、どういう根拠でひいているのか聞きたい。
一応自分の中の答えとしては、上記の輪転機財政が不可能なのは、これを実施するとインフレになってしまうからでは、と考えている。